住民票を抜かずに海外1年以上滞在は違法でしょうか?
いいえ。
条件によって問題ないです。
住民票を抜かずに海外1年以上滞在する方法を、以下経験者の僕が経験談を交えて説明します。
- 住民票を抜いて駐在員としてフィリピン移住
- 住民票を戻して日本と東南アジアをノマド生活
- 住民票は残したままで海外1年以上滞在経験あり
なお、今回は「住民票を抜いた方が良いかどうか?」については触れません。
海外在住者の住民票問題 提起
まずは、過去にアップした以下動画を見てください。
【日本】海外セミリタイア 住民票を残す理由。住民税を0円にする方法を具体的に解説 2021/10/14
この動画の視聴者から以下のような住民票に関する質問がたくさん寄せられました。
- 「住民票ハ住んでいるのが原則 長期ニ渡る場合は実態がないので自治体により職権削除される. 住基法第8条 第14条一項」
- 「海外滞在先で在留届を提出することによって日本不在となる為、日本で住民票を残したままにしておいても矛盾となり、住民票は却下されたりしないのでしょうか?」
- 「一年以上海外在住する人は在留届を出す必要があり、住民票を残しながら在留していることが大使館領事館にわかってしまうらしいのですがどうでしょうか?」
それら質問がある背景には、「日本人が一年以上海外在住する予定がある場合、住民票を抜いて(海外転出届を提出して)出国しないと違法ではないか?」といった解釈が多くの方にあるからです。
また、人気YouTubeが以下動画をアップされていて、そこでも同問題が取り上げられています。
海外に住んでいます。国外転出をしないのは法律違反ですか?(2023/03/29)週末海外ノマド「ダイスケ」
現時点(4/18)から3週間前なので、ダイスケさんが参照されてる法律は僕と同じです。
ダイスケさんの見解まとめは以下のような感じです。
- 1年以上海外に居住する場合は、転出届けを出さなければならない
- 正当な理由がなくて規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する
- (住民基本台帳法 第52条の)民法で定められている生活の本拠の解釈が極めてグレー
その見解は、以下の市や国税庁のサイトの情報から正しいと言えます。
海外に1年以上出張等で出られる場合も、転出の届出が必要です。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
出典: 「国税庁」-「No.2875 居住者と非居住者の区分」
国内に住所を有する者と推定する場合
(2) その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有すること
その他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、
その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること
出典: 「国税庁」-「別紙 住所の推定」
ですが、日本に住所がある場合、住民票を抜かないと法律違反になるか?の結論が出ていないです。
それについて僕の見解を本記事にまとめました。
結論は、日本に住所がある場合、住民票を抜かなくても法律違反にならないです。
ただし、条件があります。
住民票問題 モデルケース
ダイスケさんの動画では結論があやふやになっていて、「結局どうなの?」といった疑問が残ります。
というのも、モデルケースが設定されてないからです。
違反かどうかは以下のように人によって違います。
- 海外赴任
- 海外でリタイア生活
- 日本と海外2拠点でリタイア生活
僕は1と3を経験しています。
こんな感じです。
- 住民票を抜いて駐在員としてフィリピン移住
- 住民票を戻して日本と東南アジアをノマド生活
- 住民票は残したままで海外1年以上滞在経験あり
その経験談を交えて僕の見解をお話しします。
なお、2についての僕の見解はこんな感じです。
- 荷物が日本にあるだけでは日本が生活の本拠というには弱すぎ
- 違反
- 見つからなければOKといった感じ
海外赴任の場合
住民票を抜かなくても違反ではないです。
2017年1月から5ヵ月間、日系IT企業の駐在員としてフィリピン マニラに移住しました。
フィリピンに移住する際、「住民票をどうするか?」を個人で選択できました。
抜く・抜かないどっちが多いか聞いたと思うのですが、覚えてませんが、駐在員としていつまで海外に滞在するのか不明な場合、住民票は抜かなくても良い、との認識です。
僕は住民票を抜きました。
僕は最下級国民だったので、そもそもその選択肢はありませんでした。
住民票を残すことが採用の条件だったなら、内定を辞退してました。
ちなみに、最下級国民とはこういったことです。
フィリピン移住時に家族との関係を断つはずだったので、住民票を実家に置くという選択肢はなかったです。
- フィリピン移住時、借り(自分の養育費)を全て利息をつけて(倍返しで)親に返済
- フィリピン移住時、荷物は全てフィリピンに配送
- その企業入社時の連帯保証人は保証会社を利用。親とは無関係
なお、たった5ヵ月間でその会社を辞めた理由は、以下記事に簡単にまとめています。
日本と海外2拠点でリタイア生活
生活の本拠をどう扱うかで結果が異なります。
ここで僕のケースを考察してみます。
僕は2017年12月末、日本に帰国し、住民票を日本に戻しました。
住民票を抜いた2016年12月末から一年後です。
住民票を日本に戻してから日本と海外2拠点でリタイア生活しています。
住民票を日本に戻した理由は、フィリピンの日系企業を退職してからは海外在住の浮浪者でしたので、健康保険はなく、銀行口座の維持も厳しくなると思ったからです。
住民票は実家に置きました。
「フィリピン移住時に家族とは完全無縁になるはずだったのに、帰国後は住民票を実家に置いた理由はなぜ?」
それを説明すると長くなるのと、本件とは関係ないので今回は割愛します。
なお、2018年から現在の2023年までの5年間、日本と海外2拠点でリタイア生活している主な理由は、父親の死後処理と実家・母親の面倒を見ているからです。
それがなければ、住民票を日本に置きながら海外でリタイア生活になっていたでしょう。
ですが、それも説明すると長くなるのと、本件とは関係ないので今回は割愛します。
一応以下記事に軽くまとめているので興味あれば参照してください。
ここで生活の本拠について考えます。
上記のように、2023年4月現在、住民票を日本に残して日本と東南アジアをノマド生活、日本と海外2拠点でリタイア生活していますが、生活の本拠は日本です。
それは海外に一年以上滞在しても同じで、生活の本拠は日本です。
理由は、僕は日本の個人事業主だからです。
こんな感じです。
- 基本的に資産運用による経済的自立と早期リタイア。FIRE
- 日本と海外2拠点でリタイア生活
- 個人事業主
- 毎年確定申告している
- 納税地は住民票の住所
- 事業はブログ、YouTube
- 所得は日本の銀行口座に入金
- 海外では海外出張扱い。旅費、宿泊費等は経費で計上
収入所得は0
ここで前述の国税庁の情報をもう一度抜き出してみます。
国内に住所を有する者と推定する場合
(2) その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有すること
その他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること
出典: 「国税庁」-「別紙 住所の推定」
僕は日本に職業、資産、住所を持っています。
国内において継続して一年以上居住するものと推測する事実があることになり、国内に住所を有する者と推定されます。
結果、住民票を残したままで海外に一年以上滞在しても問題ないとなります。
実際、直近では住民票を残したまま以下状況でしたが、何も問題なかったです。
- 期間; 2022年11月中旬 – 2023年3月初旬(約15ヶ月半)
- 場所: タイ(13ヶ月半)→ ベトナム(1週間)→ タイ(1ヶ月半)→ ベトナム(2週間)
- 在住届: タイ到着後に在住届を提出済み
まとめ
「住民票を抜かずに海外1年以上滞在は違法か?」は人によって結果が異なります。
海外赴任の場合、違法ではないでしょう。
海外でリタイア生活の場合、国内に住所を有する者とするには厳しいので、住民票を日本に残すのは違法でしょう。
日本と海外2拠点でリタイア生活の場合も、国内に住所を有する者とするには厳しいので、個人事業主に登録し、毎年確定申告しておけば問題ないでしょう。
ちなみに、僕は確定申告にマネーフォワードを使っています。