「Adobe Premiere Proでのテロップ作業が大変」 「Vrewという字幕作成アプリを使ってみたけど手修正が結構ある」 「Photoshopでもテロップ作れるみたいだけど、Vrewより楽になる?」 |
最近字幕を自動で生成してくれるアプリ、Vrewが話題になっています。
音声を自動でテキストに変換してくれるアプリで、現在は無料で使えます。(2020年3月時点)
でも、Vrewでも手修正が必要になるので全自動ではできません。
そこで、Vrewで音声認識させたテキストをPhotoshopに流し込み、Photoshopでテロップを作ったらどうでしょう?楽になるでしょうか?
実際Vrewで音声認識させ、Adobe Photoshopに流し込んでテロップを作成してみました。
そのやり方と問題点を合わせて解説します。
目次
Vrewとその使い方
Vrewの画面はこのようになっています。
Vrewで動画や音声データを開くと自動で字幕データを生成してくれます。
右側に生成された字幕データ、左側に字幕のプレビュー画面が表示されるので、字幕の完成イメージを確認しながら字幕データを修正・編集できます。
Vrewの基本的な使い方についてはこちらを参照してください。
VrewでYouTubeのテロップを作成
これまでVrewを使ってビジネス系YouTuberのマコなり社長、エンタメ系YouTuberのサンエン台湾の動画のテロップを作ってみました。
前回の以下記事の方法で動画から音声のみ抜き出し、音声のmp3ファイルをVrewに取り込み、字幕データを作っています。
そのAdobe Premiere Pro形式の字幕データをAdobe Premiere Proに直接取り込んでテロップを完成させています。
VrewとAdobe Premiere Proの連携の問題点
Vrewで作ったAdobe Premiere Pro形式の字幕データは、以下の問題点があり、手修正が必要です。
- テロップの装飾はAdobe Premiere Proには反映されない。全て削除される
- 2行以上の文字列を分離できない。1つのエッセンシャルグラフィックスで出力される
- 1, 2の仕様により、テロップの2行目の位置調整やスタイルの変更は一つずつやらないといけない。一括で変更できない
Adobe Photoshopでテロップ作成
Adobe Photoshopは画像編集ソフトですが、動画のテロップ作成もできます。
手順を簡単にまとめるとこのようになります。
- Excelでテロップを作り、CSVファイルで出力
- Photoshopでテロップを流し込むためのテンプレートを作る
- CSVファイルで設定した定義をPhotoshopにも設定
- 定義をデータセット(テロップ)として紐付け
- データセット(テロップ)をテロップの数だけPhotoshop形式のファイルで出力
- Adobe Premiere Proにそのテロップを取り込む
- テロップの装飾を変更
言葉ではイメージしにくいので以下にスクリーンショットを添えてざっくりと説明していきます。
このやり方は特別な一般的に知られている方法なので、詳細はググってそちらを参照してください。
Excelでテロップを作り、CSVファイルで出力
Vrewから字幕データをCSVファイル出力できません。
代わりにテキストファイルで出力します。
そのテキストファイルの文字列をExcelにコピペしてCSVファイルを作ります。
1行1テロップで作ります。2行のテロップも1行に入力します。
そのため、Vrewで出力したテキストファイルはそのままExcelにコピペできず、次のように整形作業が必要になります。
1行目はPhotoshop に流し込むための定義名です。何でも構いませんが、たぶん日本語はダメかと。
この整形作業はExcelのVBAで以下手順を行うコードを組めば自動化できるので、大して問題ではないです。
- 下の行が空白 → 一行のテロップなのでそのまま
- 下の行に文字列 → 2行のテロップなので、改行を入れてExcelの1マスにまとめる
テロップリストが完成したらCSVで保存します。
文字コードはUTF-8を選んでおけばいいです。
Photoshopでテロップを流し込むためのテンプレートを作る
PhotoshopでYouTube動画と同じサイズ、1920 x 1080で新規ファイルを作成します。
テロップのテキストスタイル、位置を調整します。
ここに先ほどのCSVファイルの文字列を自動で一行ずつ流し込み、テロップを作ります。
なお、後でテロップの色を変更しやすくするために、動画で使用するテロップのパターン3色もここで作っています。
それらのテロップの色のレイヤーは非表示にしておけば問題ないです。
CSVファイルで設定した定義をPhotoshopにも設定
CSVファイルをPhotoshopと紐づけるため、Photoshopの定義にCSVファイルで設定した定義名を入力します。
メニューバーの「変数」-「定義」を選択し、
「テキストの置き換え」に入力するだけです。
その際、「レイヤー」はテロップを流し込むレイヤー名になっていることを確認してください。
定義をデータセット(テロップ)として紐付け
次に「データセット」の「読み込み…」でテロップのCSVファイルを読み込みます。
読み込みに成功すると、テロップ一行ずつこのダイアログ上とプレビューで確認できます。
全テロップが正常に表示されることを確認したら「OK」ボタンを押し、完了します。
ここでCSVファイル読み込み時にエラーが出る場合、例えば、「データセット名が不足しています」等のメッセージが出る場合、不要なレイヤー(特に下地のイメージ画像など)を削除したりすると解決します。
データセット(テロップ)をテロップの数だけPhotoshop形式のファイルで出力
「ファイル」-「書き出し」-「データセットからファイル…」を選択し、テロップをPhotoshop形式のファイルで出力します。
テロップの数だけPhotoshopファイルが出力されるので、ファイル名にインデックス番号をつけたりして整理しておくとよいです。
Adobe Premiere Proにそのテロップを取り込む
Adobe Premiere ProにVrewから出力したAdobe Premiere Pro形式の字幕データと先ほど出力したPhotoshop形式のファイルのテロップを取り込んだ画面です。
その際、Photoshopファイルに含まれる全てのレイヤーをどうするか聞かれるのですが、「すべてのレイヤーを結合」で問題ないです。非表示のレイヤーはPremiere Pro上でも表示されません。
こうすることでPhotoshop形式のテロップの位置、長さ調整はマウスでドラッグするだけでできます。Adobe Premiere Pro形式の字幕データに合わせるだけなので作業は楽です。
テロップの長さ調整は、
ローリングツールを使うと便利です。
テロップを短くしてできた隙間を自動で後ろのテロップで埋めてくれます。
全テロップの配置が完了したらVrewから出力したAdobe Premiere Pro形式の字幕データを非表示にすれば良いです。
ここでテロップが音声と合っているかを確認しておくといいでしょう。
テロップの装飾を変更
テロップはPhotoshopファイルなので後から装飾を変更することができます。
テロップを右クリックしてプルダウンメニューを開き、「Adobe Photoshopで編集」を選択してPhotoshopでファイルを開きます。
青色の縁を赤色の縁に変更したりできます。
保存すればPremiere Proのファイルにその変更が即反映します。
Photoshopでテロップを作るときの問題点
このように単純なテロップであればPhotoshopを使った方法でも簡単に作れます。
ですが、1テロップに複数のスタイルを割り当てることができないです。
例えば、最初の「マコなりです」を見てみます。
元の画像はテキストのスタイルが2つに分かれています。
ですが、Photoshopで作ったテロップはこのように1色になります。
色を青色の縁から赤色の縁に変更できましたが、文字列の一部のみ赤色の縁に変更はできません。
Photoshopの仕様上、テキストの塗りとそれ以外(効果)とで設定が分かれており、その効果は文字列全てに適用されます。一部のみ変更はできません。
この文字列の一部のみを変更したい場合、色の変更を効果ではなく塗りに変えることで対応できます。
完成したテロップ
上記問題からPhotoshopによるテロップ作成は使い道がなさそうなので、今回は短く数テロップだけマネてみました。
【動画編集】マコなり社長 Photoshopでテロップを作ってみた
Adobe Premiere Pro勉強用。 Vrewで字幕データを作り、Photoshopでテロップを作成したもの。
また、オリジナルはテロップが左揃えですが、中央揃えのままです。
Photoshopでテロップ位置を調整すれば簡単にできるはずですが、その必要もないと感じてそのままです。
まとめ
このように、Photoshop を使った字幕データ作成は出来ることが限られています。
Vrewで作ったAdobe Premiere Pro 形式の字幕データと比較してメリットはなさそうです。
今後Vrewが有料になったりして気軽に使えなくなった場合にPhotoshopでのテロップ作成を検討すれば良いかなと思います。